とっても嬉しかったこと

ロータスリーフプレートをもっと重い素材で作っていただけませんか?」という依頼を受けたのは、去年の10月頃。聞けば、小銭のやりとりにこのプレートを使いたいが、現在のアルミでは軽すぎて安定感が足りない、とのこと。 早速、製作者にかけあって、素材の選別や皿の裏の処理について相談した。新たに型を作るところから始めて、デザインはそのまま、安定感のある錫のプレートが2ヶ月後に出来上がった。お客様はとても喜んで下さり、「今度、新橋で立ち飲み屋を始めるんです」とおっしゃった。

その後、季節はめぐり、思いがけなく昨日大きな封筒の包みが届いた。中には丁重なお手紙とお店のお品書きやオリジナルのタオルまで。 5月下旬にお店がオープンし、蓮のプレートもお店の顔の一つとして活躍しているとのこと。そのご報告があまりにも嬉しくて、しばし便箋を持って立ちつくしてしまった。 私の仕事は作り手とお客様をつなぐことだけであり、何かを生み出しているわけではない。そのことに、どんな意味があるのか見いだせなくなり、くじけそうになることも多々。でも、このお手紙から迷いや不安が吹っ切れた。こんな素敵な出会いがあるのもこの仕事のおかげじゃないか。

お客様のお店の名は「ぼんそわ」。平仮名の“ぼんそわ”がとても柔らかくていい感じ。庶民的なお品書きの中にも、随所にこだわりが見えて大いにそそられる。 支払いのお皿一つにあれだけ凝るお客様のこと、お酒もお料理もさぞかしおいしいにちがいない。 いつか「ぼんそわ」ののれんをくぐる日を楽しみに、今日もがんばるとしよう。

ぼんそわ http://www.bonsoir.jp/ ロータスリーフプレート http://wazakkasui.com/?pid=107427047