命のおすそわけ

桜は花びらで布を染めても花の色には染まらず、花が咲く前の木の幹で染めると美しい桜の色に染まるのだそうです。

桜は花を咲かせる前に樹木全体で命を宿し、それが色となってあらわれる。

この話を知ったのは染色家・志村ふくみさんの『一色一生』というエッセイから。

中学か高校の教科書に載っていたので、ご存じの方も多いでしょう。

道路拡張などで伐採された桜の幹を使って染められた手織り手紡ぎの麻。

貴重な命のおすそわけが、このめがね紐となって生まれ変わりました。

上品な中にも華やかな可愛らしさのある品です。