千葉県長南町に「芝原(しばら)人形」という約140年伝わる土人形があります。
一度は途絶えた芝原人形を復元させたのが、四代目・千葉惣次さん。
千葉さんは人形づくりと同時に、全国の民具や伝承切り紙を収集し、研究もされています。
以前、なんとなく心惹かれて買い求めた『東北の伝承切り紙』という本の著者と芝原人形の四代目が同一人物であると知ったのは、イベントの時に当店のブースに立ち寄られたお客様からの情報でした。
そんな偶然にも導かれ、ただいま開催中の「縁起物展」におうかがいしました。
竹や松でしつらえた入口を入ると、御札が所狭しと貼られた玄関へ。まずその雰囲気にもびっくり。
工房内に進むと、高い天井から見事な切り紙が下げられ、古い民具と一緒に芝原人形が飾られています。
どの人形も素朴で邪気がなく、まるで古くからそこに存在していたかのよう。
「人形作りは上手になっちゃいけない」
「二十年作ってきて、芝原人形の型のようなものが身について、ようやく初めて新しいものが作れるようになった」
千葉さんの言葉はどれも示唆に富んでいて、郷土人形を伝承するということの意味について考えさせられます。
東北や新潟の切り紙についてもいろいろ詳しく教えて下さいました。
人形と切り紙、共通するのは、古くから人の営みと共にあり、心の拠りどころであった、ということでしょうか。
自然と共に生き、自然を畏れ敬った日本人の心。
その根っこを伝えていくことが千葉さんはご自身の役割だと考えていらっしゃるようでした。
最後に、たくさんの人形の中から自分用に、宝珠を持つ兎、鯛担ぎえびす、招き猫を選びました(後から気づいたけれど、全部、自分の欲が絡んでいる感じがします…)。
いずれ、当店でもこの芝原人形をご紹介できればと思っています。
「芝原人形 縁起物展」は12月24日まで。AM11:00〜PM5:00
会場 草の子窯
(千葉県長生郡長南町岩撫44-1)
圏央道長南インターより車で15分