紅花はご存知の通り染料や化粧用の紅の原料として使われてきました。
「行く末は誰が肌ふれん紅の花」
これは芭蕉が紅花畑を前にして詠んだ名句。
私は一昨日、知ったばかりですが…。
自分が今、目にしている紅花は、きものや紅となって誰が身に付けるのだろうか、というような意味だそうです。
紅花の行く末に思いを馳せ、たった十七字でこれだけ情感豊かに美しく表現できるってすごいなぁと感じ入りました。
さて、ネットでの私の仕事でもこの句と少し似たような心情を味わうことが多々あります。
対面の販売とは違い、実際にお会いしたことのない方へ品物をお届けしているわけですから。
この蒔絵の姫鏡はどんな方が持つのかしら?
このブックカバーにはどんな本が入るのかしら?
この猫ちぐらのなかに寝るコはどんな猫ちゃんかしら?
いつも想像をふくらませながら発送しています。
幸いなのは、今の時代は一方通行ではないやりとりが可能だということ。
実際にお目にかかったことはなくとも、お客様がメールやFacebookなどでフィードバックをしてくださることで、ものの行く末が具体的にイメージできたとき、なんとも幸せな気分に浸ることができます。
作り手さんにしてみれば、私以上に大きな手応えになっていることでしょう。
当店では、お客様からの感想は作り手さんにも伝えております。
紅花の句のような行く末知らずの切なさも俳句作品としては悪くはないですが、自分が送り出した品はできるだけ見届けたい、最後まで責任を持ちたい、のが率直な気持ちです。
お届けの品で何か感じることがありましたら、お気軽にご感想をお寄せいただければ幸いです。
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