和柄の定番「波兎」。泳げるはずのない兎が波の上を跳ねているデザイン。どうしてこの意匠が生まれたのか、疑問に思ったことはありませんか?
ネットで検索すると、謡曲『竹生島』の「月海上に浮かんでは 兎も波を奔るか」の一節が由来だと言われています。月が海に映り込み、月に住む兎も波間を跳ねるのだと。
しかし、月が映りこむような穏やかな海なのに、波間を跳ねるうさぎというのがなんだかしっくりこないような気がしていました。
私が自分なりの答えに辿り着いたのは、サーフィンをなさるお客様のブログを読んだとき。海が適度に荒れて、白い波しぶきが立っているさまを「兎が飛んでいる」と表現されていたのです。
「あっ、これだ!」と思いました。
白い波しぶきがいくつも上がっているのは、まさに兎が跳びはねているように見えませんか?
あくまで私の意見ですが、「波兎」とは、白い波しぶきを兎にたとえたことから生まれたデザインなのではないかと。
そんなことをこの香合を眺めながら思ったりするのでありました。
蒔絵屋 ミニ香合「波兎」http://www.wazakkasui.com/makieya/MA0012.htm